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第十話「結果」


辺りはまるで凍りの密林とかしている。
春になり随分暖かくなっているはずなのだがココはまるで極寒の世界。
息をするたびに肺が冷たい冷気を吸って悲鳴をあげ、更に体温を奪われてしまう。
「ハァハァ・・・。」
私はあの氷の散弾をなんとか木の影に隠れたり、走りまわったりなどで回避をしていた。
結局カモから言われて取り出した武器は使い道が分からないだけではなく腕から取り外すことも出来なかった。
「まったく、武器の使い方知らないのに取り出して使えっていう馬鹿がいる? しかも、相手を怒らせちゃったみたいだし。」
ピンと横にいるカモをデコピンする。
するとカモはちょっと申し訳なさそうに口をひらく。
「仕方ないだろう姉さん。 大体武器ってのは相場が決まってるんだ。 剣や槍、盾に鎧、本や杖。」
カモが口を開きアーティファクトの説明をし始める。
私は当りを警戒しつつ、カモの話しに耳を傾ける。
運が良ければカモの話しの中にコイツを使いこなすキーワードが残っているかもしれない。
「まあ、大体、戦士、護衛、魔法使いっていう武器の種類があるんだが。 姉さんのタイプは初めてみるよ。 昔聞いた音認識武器じゃなさそうだしなー。」
うーん、とカモは唸る。
確かに私の武器は見たこともない形をしていて声にも反応しない。
ああ、たしかこういうのって声ではなく深層意識の中で考えないとダメってのを読んだ気がする。
まあ、少年誌の受け売りだけどたしかその雑誌の名前は「マガ○ン」だったようなー。
くだらないことを思いつつ、一応行動に移してみる。
心を澄まして、乱れなく、水の上が鏡の如く。
「取れろ。」
小さくすばやく答えると右腕の輪っかがいきなり大きくなり、私の腕から抜け、目の前に浮かんだ。
横にいたカモは驚いた顔をして私に話しかけてきた。
「あ、姉さんすげえ!! 一体どうしたんだ!!」
カモが聞いてきたので大体のあらかたの説明をするとカモはフムフムと理解したのか変な笑い声をあげ始めた。
「ヘッヘッヘッ・・・、姉さんそりゃ意識変化タイプっていって変幻自在の武器でさあ。」
いやらしい笑い声は私の頭に響いたのでさっと、カモをしめあげ質問をする。
「で、意識変化タイプってのはなに?」
タップを始めるカモを無視して話しを聞く。
「わ、わかりましたから!! 放して!!」
今回ばかりはカモに振りまわされるわけには行かないので、なるべく早く情報を集めることにした。
「簡単に説明しますと、それは姉さんが考えた通りに変化する魔力の武器なんす。 これで兄貴が来るまで粘れるかもっす!!」
カモはやたーと言った瞬間後方からスゴイ殺気が飛んでくる。
「っつ!!」
私は即座に反応して横に飛ぶ。
そして飛んできた方向からはエヴァちゃんが結構イラついているご様子で現われる。
「まったく、弱者はさっさと刈られるべきではないか? 希望など捨ててしまえ、お前等はココからは逃れられん!!」
言うと同じにエヴァちゃんは腕を振り下げると四方八方から氷の刃が飛んでくる。
マズイ!! これはかわしきれない!!
「チャ、チャクラム!!」


壮絶な爆音、煙、飛んで来る破片。
その中での生存など到底むりであろう。
ましてや、爆音の目的は逃れることも許されないだろう。
そう、確かに逃れることは出来なかった。
だが、私の両足はしっかり大地を踏みしめ立っている。
煙が薄くなるにつれて目の前にエヴァちゃんの姿がハッキリと見えてくる。
「なにっ!!」
エヴァちゃんが驚いた顔をでこちらを見つめている。
それも当然だ、相手は私達を葬る気でしかけた、逃げ場のない文字通り必殺。
それを私達は退けたのだ、それを驚かずにいられようか。
私はあの瞬間、両方のチャクラムにこう言った「盾に生(な)れ。」そうするとチャクラムは瞬く間に全方向に展開し必殺の威力のある魔法を退けた。
退けた直後手の内がばれるのはマズイと思いすぐさまチャクラムを元に戻したのだ。
だからエヴァちゃんは私がどうやって止めれたのか考えて困惑しているのだ。
「あ、姉さん。 俺っち少しちびったかも。」
肩に乗っているカモが震えながら言う。
「潰すわよ。 あと、しっかり掴まってなさい。」
私はそう言うとエヴァちゃんを睨みつけ腕を振りかぶる。
「!?」
エヴァちゃんもその行動を見逃さず対応を取れる状態にする。
これでは攻撃を放ったところでかわされるだろう。
しかし、私はそんな事はわかりつつチャクラムに指示をだす。
「行け!!」
野球のボールを投げるみたいに円盤上のチャクラムをエヴァちゃん投げつける。
エヴァちゃんが放つ魔法の矢と寸分違わないくらいの速度で飛んでいくチャクラム。
しかし、その直後エヴァちゃんにあっさり避けられ後ろにある大木をなぎ倒す。
エヴァちゃんはその威力に驚き後ろを見つめている。
それが私の狙いだ!!
もう片方のチャクラムを解放し再びエヴァちゃんに投げつける。
「行け!!」
その掛け声に気がついたのか私の方向を見もせずに横に飛ぶ。
私の予想は外れあっさりとかわされてしまう。
ザッっと、踏ん張りようやくこちらを振り返る。
流石に怒りで満ち溢れているのかなにも詠唱をしない状態で光球がいくつも空に浮かんでいる。
「小娘!! 私をココまでにコケにするとは!! 覚悟しろ!!」
エヴァちゃんはそういうと、呪文を浴びせようとはせず自分の体一つで向かってくる。
しかし、さすが吸血鬼、並のスピードではない。
さっきの距離はざっと100mはあったのに一瞬で前方20mぐらいまで縮めている。
「両方のチャクラムを放ったのが失敗だったな!!」
鋭い爪が私を捉えようとした時。
「おかえり。」
私がそう呟くとエヴァちゃんは後方からかなりの衝撃を受けたのか、私を通り過ぎて吹き飛んでいる。
そして私の手には、最初に飛んだチャクラムがある。
エヴァちゃんはよろよろとおきあがり。
「き、貴様・・・。」
まだやる気マンマンらしい。
「す、すげえ!! いくら弱っているとはいえ吸血鬼の真祖をここまでボコボコにするとは!!」
肩に乗っているカモはおおっ!! と驚愕の声を上げている。
私はそんな声を尻目にエヴァちゃんにはなしかける。
「もう勝負はついたわ、私の用件はこれ以上吸血鬼騒ぎを起こさないこと!! それさえ守ればもう何もしない。」
私がそういった途端、エヴァちゃんはこちらに向かって飛びあがり
「ふざけるな!! わたしは吸血鬼だ!!」
仕方が無く、私は手に持っているチャクラムを投げつけ最後の一撃にするつもりだった。
が、それはエヴァちゃんに片手で弾かれる。
「ウソ!!」
そしてそのまま私はやられるはずなのだが。
「よし!! チャクラム、展開!! 形状スケボー!!」
ジャンプをして着地すると戻ってきていないはずのもう片方が私の下でスケボーと化している。
「なに!?」
エヴァちゃんは驚くがどうする事も出来ない。
怒りに任せ突進してきたスピードだ自分でどうにかできるわけがない。
私は空中スケボーの感覚を楽しみつつ、スケボーをエヴァちゃんの方向へむけスピードを上げる。
結果、ぶつかる瞬間私は降りエヴァちゃんは持ち主である私を始末しようとするが外れスケボーの直撃を受ける。
「よっと。 ちょっとやりすぎたかな?」
私は倒れこむ、エヴァちゃんに近づこうとするとエヴァちゃんの体は陰に飲みこまれ
「生野 海里!! この屈辱わすれんぞ!!」
とエヴァちゃんの声だけが森に木霊する。


別談
「ふいー、たすかったわねー。」
その場にペタンと座り込む。
戦いの中ではこんなことを言う余裕はなかったが自分自身どこまでチャクラムが言うことを聞いてくれるのか心配だった。
さっきの作戦は一つでも思い通りにいかなければ私はあっさり敗北していただろう。
「あのー姉さん。」
肩に乗っているカモが話しかけて来る。
「なに?」
「さっきの戦いで上着が破けて、ブラ見えまくりでっせ。」
え? 下をみるとあらわになる片方のブラジャーが目に入る。
「キャァァァー!! エロオコジョーー!!」
「えっ!! おれっちっすか!!」


第十話「結果」完